塗装の薄い車の磨き方、ソリッドブラックの研磨方法とは?
2015/12/15
日産ステージア × ペルマガード
PERMA GARD[POLISH LEVEL:2]
今回の施工は日産ステージア、東京都墨田区からお越し頂きました。遠方よりお越し頂きありがとうございます。
お客様曰く、数年前にとある施工店にてボディーコーティングを施工され、結果的に残念な思いをされたそうなので、今回こそはと当店へお持込頂きました。まず塗装を拝見させて頂いて感じたのは「相当苦労したんだな、。」という印象。恐らくその施工者は思ったような仕上がりが得られない事で磨き込みを続け、結果的に塗装を相当に薄くしてしまったものだと推測します。
今回の施工では細かく各パネルを膜厚の測定しながら細心の注意をもって磨いていきます。
ルーフやボンネットは比較的クリアーが残されているものの、サイドに関しては壊滅的な状態です。
塗装を磨く前の判断
塗装に浸透するタイプのコーティング剤を使用していた為と説明を受けたそうですが、若干の手間はあるもののそれだけが原因の筈はありません。
ある程度知識と経験を持った施工者であれば、日産車の柔らかく乾いた塗装は他の車と同じように磨いても仕上げられないことはわかりきった事。
特にKH3(スーパーブラック) のような単濃色は研磨方法や材料の選択次第で顕著にバフマーク(磨き傷)が出ます。
お客様の車は磨きの練習台ではないのです。
もう少しだけ膜厚を残しておいてもらえたなら、余裕をもって磨き上げることができましたが、ご丁寧に全体が均一に荒々しく仕上げられています。
いくら嘆いても選択肢はありませんので、LEVEL:2の最小限の研磨で手数とコンパウンドを切るまでの時間を少なくして仕上げるしかありません。
塗装を磨く際に常に意識しなければならないのはいたずらに削らないこと。ポリッシャー・バフ・コンパウンドの最適な組み合わせを選定し、的確な面圧と回転速度、時間をコントロールしながら磨く必要があります。その最適解を導き出すのは、積み重ねてきた経験や知識、技術職ならではの感がモノをいいます。
塗装の見極めや、使用する研磨方法のテストや判断。塗装を磨く前のこれらで仕上がりの8割りが決まるといっても過言ではありません。
比較的磨きシロのあるルーフから。しっかり塗装面にピントが合っているのが研磨カスで判断できると思います。
処々に前回の闇雲な切削の跡がありましたが慎重にリセットを進めて良い塩梅で研磨中断。
塗装の薄いソリッドブラックの磨き方とは?
塗装温度が上がらない様に研磨熱を逃がしながら行うのが昨今の塗装の磨きではありますが、限られた膜厚内で的確な処理を行うのは至難の業。それを更に難しくしている悪条件はクセのある日産塗装KH3(スーパーブラック)です。
この年代のステージアの塗装は恐らくベースで80ミクロン前後、20~30ミクロン以上あったはずの上塗りクリアーは部分的にほぼ “ない” 状態ですのでルーフなど余裕のある部分は剥げる手前の3ミクロン前後、基本的には1~1.5ミクロン程度の膜厚を使って効率良く磨ききる方法をとります。
ソリッドカラーや膜厚の薄い塗装に限ったことではありませんが、磨きに失敗があってはいけません。ここでいう失敗とは塗装を剥がすことを指しているのではなく、1研磨1研磨を全て成功させる事。得に黒ソリッドカラーの磨きではバフ目という形で失敗が露呈するので、バフの状態を常に把握しながら全ての研磨において、スピード・面圧(力)・時間をコントロールする意識が重要ということです。
日産スーパーブラックのような柔らかい塗装場合、バフ目は出易く焼きつきも起こしやすいですが、上記の磨きを同じ条件で丁寧に繰り返すことができれば、塗装の柔らかさも相まって1~2μで仕上げる事は十分可能です。乾いた塗装を磨く際に焼きつきを起こす場合は、研磨効率は悪くなりますが回転数を落として、もう少し「バフの状態を作る」必要があります。
磨きの上で、一番大切なこと
留意する事が多すぎて久しぶりに心が折れそうになりましたが、何とか当店の仕事として恥ずかしくないレベルのフィニッシュまでもっていく事ができました。
車磨きを行ううえで一番大切なことは、何よりも仕上がりを楽しみにしているお客様を思う気持ちだと思います。
写真を撮り損ねてしまったので申し訳ありませんでしたが、お引渡しの際にはピカピカのお車にお客様には大変喜んで頂きました。ペルマガードの施工を行いましたので、クリア塗装の代わりとまではなりませんが膜厚の確保と十分な塗装の保護にはなるはずです。
マニアックな乱文にお付き合い頂き感謝いたします。
この度は東京都町田市の車磨き専門店ディテールワークスへご依頼頂き誠にありがとうございました。今後共ご贔屓の程、宜しくお願い致します。
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