車の花粉シミの原因はペクチン!?そのメカニズムと対策とは?
2017/03/31
春の雨染みの注意喚起!花粉によるシミ被害
車の塗装の美観維持において、春は最も顕著にダメージを受ける時期です。
実際にどのようなダメージを受けるのか、花粉の構造や塗装に与えるダメージのメカニズムと対策を詳しくご説明します。
●花粉の塗装への影響
花粉の舞う時期は洗車をしても車に残った水分によってあっという間に花粉を吸収してまた花粉だらけになってしまいます。
花粉による塗装への影響は、刹那的な外観の汚れだけではありません。
花粉は球体形状で外側に膜があり、水に濡れるとこの膜が割れて中から「ペクチン」と呼ばれるたんぱく質成分が抽出されます。
外観の汚れなど比にならないほど、このペクチンが塗装へ侵食した場合に重篤なダメージを与えます。
●塗装侵食の仕組み
水分を含んで抽出されたペクチンは塗装に付着するのではなく塗装組織の中に入っていきます。
乾燥すると収縮し同時に周辺の塗装組織が引っ張られ、塗装もろとも収縮させてしまいます。ダメージは花粉(ペクチン)量と気温、経過時間に比例して深刻化します。
「花粉が大量に飛散する春先の晴天」 → 「ボディー上の花粉が流れ落ちない程度の少量の通り雨」 → 「晴天で気温が上昇」。これはダメージが特に深刻化する典型的なパターンです。
●花粉による被害への対応策
最初にお伝えしますが、軽度の場合を除き花粉によるダメージは “磨きでは完全に除去できません”
この画像はペクチンによる凹凸ダメージであり、外観こそイオンデポジットと同じ見た目をしていますがダメージの種類が全く違います。
<研磨後>
イオンデポジットによるダメージはクリア塗装の表面へ限定されますが、花粉による被害は侵食したペクチンによって内側から引っ張られているので磨き消すことは不可能です。
上の画像は研磨後の状態ですが一見するとキレイにリセットさてたようですが除去できたように見えるだけで1週間も経てばまた少しづつ収縮が始まり目で認識できるように戻ってしまいます。
磨きで除去できた様に見えるのはポリッシャーの一時的な「研磨熱」による効果である事を示しています。
ペクチンが塗装を内側から収縮させて出来た凹上のダメージは、研磨熱によってペクチンに引っ張られていた塗装が一時的に膨張したことで元通りに戻ったように見えるだけで、花粉による進行被害(時間経過)が長いほど原因となっているペクチンは塗装内部に残ったままとなります。
原因を取り除くには、タンパク質であるペクチンを “継続する熱” によって熱分解する必要があります。
対応策は3つです。
①、熱湯(80℃)を流し続ける。
②、ヒートガン(又はヘアドライヤー)を使用する。
③、夏場まで待つ
①の場合は大量のお湯が必要になるので、タオルなどをボディーに乗せてなるべく滞留させる方法が良いです。
②は、塗装を熱くしすぎて塗装が沸いてしまったり痛めてしまう危険性があるのであまりお勧めしませんが、①よりはペクチン組織を分解する効果が高いので任せられるプロショップなどがあれば依頼してみましょう。
③、夏場には塗装温度が継続的に70℃前後になり、ペクチンが分解されるのに十分な環境が自然に整います。
愛車が花粉のダメージを受けているのを目の前にして何も対策しないのは気が気でないとは思いますが、付け焼刃で安易な方法を試すよりもまずは③の方法で外気温が高くなるのを待つのが良策かと思います。
●花粉の種類と飛散時期
花粉は車の塗装に顕著なダメージを与えるので、車の美観維持において如何に対策をとれるかがポイントです。花粉は一年を通して飛散しますが、2月~5月にピークを迎えるスギ花粉・ヒノキ花粉はには注意が必要です。
以下のグラフは、関東における年間花粉飛散グラフです。
一年を通して花粉が飛散し、花粉の種類が多いのが関東エリアの特徴です。春先に花粉の飛散量のピークを迎えるスギ・ヒノキ科だけでなく、草本花粉であるブタクサ属やイネ科の飛散時期が長いのも特徴の一つ。グラフで見ると春の車のお手入れ(洗車など)が非常に大切なのがわかります。9月と10月もブタクサとカナムブラ花粉が多く飛散しますが、草の花粉よりも木の花粉の方が広範囲に飛散するので車の花粉ダメージに関しては2~5月に集中します。一般的に花粉症を発症する人が春に多いのと同じです。
●花粉ダメージ予防には「耐薬品性の高い硬化型コーティング施工」が効果大!
花粉ダメージを受けた後の対応ではなく、事前の対策がとれれば花粉も怖くありません。
対策としては洗車頻度を高める事、または春先は特に雨の降った直後や直前に洗車しておくことができれば花粉によるダメージの重症化を未然に防ぐことが出来ます。
コーティング施工車、未施工車に関わらずダメージは塗装に及びますがコーティング施工車は未施工車に比べダメージが軽減されます。
また、ペクチンの主成分は “ポリガラクツロン酸” なので、酸に強い硬化型コーティングや耐薬品性の高いコーティングを車に施工することで花粉ダメージを防ぐことができます。
当店のラインナップでは、「MICRO FENCE」、「KUBE BOND/Diamond9H」が該当します。
また、新車は特にこのペクチンによる被害を受けやすい印象があります。ペクチンが塗装内部に侵食するという特性を考えると新車の「安定しておらず乾ききっていない塗装」=「柔軟性があり侵食しやすい」という点で整合性があります。
新車・中古車の花粉ダメージを未然に防ぎたいというオーナー様、花粉のダメージをすでに受けてしまった方は、お気軽にご相談ください。
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